「LISA:予告編」



「奥さん、最近の電気製品ってダメですわねぇ。」
 ある東洋の小さな国の、小さな街の井戸端会議。奥さんたちは今日も、不平不満と御近所のスキャンダルに話題の花を咲かせていた。
「クーラーがねぇ、買ってぴったり1年で壊れたのよ、まるで保証が切れるのを待ってたみたいに。憎たらしいったらありゃしない。」
「それは災難だったわねぇ。」
「それで、どうするの?新しいのを買う?それとも…。」
「ハカセに修理を頼む?」
 ハカセの名が出ると、奥さんたちは一斉にくすくすと含み笑いをした。
「そうね、ハカセに頼んでみようかしら。夏までに直してくれたらいいけど。」
「あの人、腕は確かなんだけど気粉れだからねぇ。」
「ならいい方法があるわよ、奥さん。ジュニアに頼むの。」
「ジュニアって、瞳ちゃんに?!」
「そうよ、ハカセは一人娘には頭があがらないんだから。あの子にお菓子でもやって、パパによろしくねって頼んだらいいの。」
「奥さん、頭いいわねぇ。」
「当然、伊達に年はとってないわ。」
「奥さん奥さん、噂をすれば何とやら。ジュニアが来たわよ、ハカセジュニアが。」
 彼女の指さす方向には、犬を連れた女の子が歩いていた。彼女は奥さん達に気付くと、ペコリと頭を下げて挨拶した。
「こんにちわ。」
「こんにちわ瞳ちゃん、ベスとお散歩?」
「うん。」
「瞳ちゃん、前に修理頼んだうちの息子のテレビ、どうなってる?」
「パパ、お仕事忙しいみたい。最近ご機嫌悪いの。」
「そうなの、それじゃ瞳ちゃんも大変ねぇ。また今度うちに遊びにおいでね。」
「うん。じゃあね、おばさん。」
「じゃあね、パパによろしくね!」
 彼女が去るやいなや、口かさのない井戸端会議は再開される。
「あれで八つよ、しっかりしてるわねぇ。」
「あの子も可哀想ねぇ、父親があれじゃ、しっかりするしかないもんね。」
「ねぇねぇ知ってる、ハカセの別れた奥さん、とうとう実家に帰ったんですって。」
「え〜、知らなかったわ!奥さんって、確か再婚した旦那さんが…。」
「そうそう、その人よ、蛭ヶ谷のマンションに住んでた人。」
「ねぇ、実家ってどこ?」
「田舎のほうだったわよ、農家をやっているみたい。確かねぇ…。」
 井戸端会議を中継していてはきりがない、そろそろ物語を始めよう。それは、この井戸端会議から約三ヶ月後のことである…。


※※※ 小説に登場している人物・団体・製品などの名称は全て架空のものです。例え同名のものが実在しても、本小説の内容とは一切関係ありません。 ※※※

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