2 輪郭線処理


2−1 スキャン

 ペン入れの終わった紙原稿はよく乾燥させたあと消しゴムをかけてラフ線を消し、ゴムかすを丁寧に払ってスキャナーにかけます。ちなみに私が使っているのは Logitech 社の PageScan Color という、シートフィードタイプ・パラレルポート接続の古い製品です。

 スキャナの操作に関しては各社色々異なるため説明はできません。ただ、取り込みモードは「グレイスケール(白黒 256 階調)」、解像度は 200〜400dpi を指定してください。どうせ最後には縮小するのですし、600dpi 以上で取り込んでもアラが目立つばかりです。楽描きの場合は 100dpi を使うことさえあります。

 取り込んだ原稿は適当なサイズにカット&ペーストして切り出し余白を除きます(トリミング)。ちなみに私のマシンだと PhotoShop からのスキャンが異常に遅いので、スキャンとトリミングだけは PaintShopPro 4.14(これも古いソフトだな) から行っています。

図 2-1 (6.4K)
 ペン入れ・スキャン・トリミングした画像を図 2-1 に示します。図 2-1 は縮小したあと一部だけ切り出してありますが、原画像のサイズは 400dpi 取り込みで 1600×3320 ピクセルです。

 このように、人間の目には「真っ白」に見える紙もスキャナにかかれば薄暗い灰色になってしまい、紙の繊維ムラなんかまで律義に取り込まれてしまいます。そこで画像演算操作で白黒レベルを調整するのですが、こういった処理こそ PhotoShop の最も得意とする分野です。
図 2-1 スキャン原画像

 まず最初に、画像の編集モードをRGB カラーに変更しておきます(画面 2-1)。この操作は着色に入る直前に行っておいてもいいのですが、どうせ後からやるのですから早めに変更しておきましょう。

画面 2-1 (1.4K)
画面 2-1

 さてスキャン原稿の表示された状態で、メニューから「レベル...」を選択します(画面 2-2)。

画面 2-2 (1.2K)
画面 2-2

図 2-2 (6.8K)

 ここで表示されるダイアログ(画面 2-3)の白△マーク(赤丸)をマウスで動かして、グラフの持ち上がっている左側のあたり(緑丸)まで動かせばアラ不思議、ずず黒かった背景がすっきり真っ白に修正されます(図 2-2)。
図 2-2 レベル修正後のスキャン画像

画面 2-3 (2.4K)
画面 2-3

 画面 2-3 で表示されたグラフは「ヒストグラム」と呼ばれ、画像上の輝度分布を表わし、左側が黒・右側が白を示しています。ヒストグラム下の黒、灰、白三つの△マークは表示基準点を意味しており、黒△の左は真っ黒(輝度 0)に、白△の右は真っ白(輝度 255)に表示され、黒−白の間の輝度は灰色△を中心にした輝度勾配(ガンマ値)で表示されるよう画像が変化します。基準点はヒストグラムの上部に数字でも表示されています(Input Levels)。

 さてヒストグラムの右側、山のように盛り上がっている部分は「本来白であるべき」紙の下地となっている部分です。ですから白△をこの直前まで動かすということは、「紙の下地となっている部分を全て真っ白に表示させる」ことを意味しているのです。
 ちなみに黒△を右に動かせば線が濃くなり、灰色△を左右に動かせば線の太さが変化します。いろいろいじって試してみてください。ただ基本的には「白△を山の麓まで動かし、黒△と灰色△は触らない」というのがいちばん無難な仕上がりになるようです。


2−2 透過レイヤー化

 さて、この段階での輪郭線はまだ「白地に黒」の状態ですが、CGとして着色を容易にするには、アニメセルのように「透明な上に黒」の線になってくれた方が便利です。そこで、ここではこの「白地の透過作業」を行うための方法について説明します。おっと、その前にまず現在の状態で「名前をつけて保存」しておきましょう。作業の各段階でこまめに保存しておくのは PhotoShop 使いの常識です(^^;)。

 まず、白地に黒の輪郭線画像を全選択・コピーします。次に新規レイヤーを作成します。ここまでの操作は、Windows マシンであれば Ctrl+A, Ctrl+C, Shift+Ctrl+N という3つのショートカットで実行できます(勿論メニューから選んでもいい)。

 次に、新規に作成したレイヤー上に「レイヤーマスク」を作成します(画面 2-4)。

画面 2-4 (2.3K)
画面 2-4

画面 2-5 (1.7K)  レイヤーマスクのモードには「全表示」と「全隠蔽」がありますがどちらでも構いません。とりあえず全表示を選択しておきます。すると、画面右下のレイヤーパレットにはマスクモードを意味するマーク(図 2-5 赤丸)が表示されます。
画面 2-5

画面 2-6 (1.7K)  さてこの状態で、レイヤーパレットの「チャネル」タブをクリックします。すると、新規に作成されたレイヤーマスクチャネルが選択されていますので、目玉アイコンをクリックしてマスク表示を ON に設定します(画面 2-6 赤丸)。
画面 2-6

図 2-3 (5.0K)
図 2-3 レイヤーマスクへの画像貼り付け
 そして、このチャネルに先ほどコピーしておいた白黒輪郭線画像を貼り付けます(Ctrl+V)。すると画面上では、ピンク色で輪郭線が表示される筈です(図 2-3)。
図 2-4 (4.7K)
図 2-4 レイヤーマスクの反転
 次に画像を反転します(Ctrl+I)。すると画像はピンク地に白の状態に変化するはずです(図 2-4)。
画面 2-7 (1.7K)
画面 2-7
 ここで再びレイヤーパレットに戻り、「RGB」を選択します(画面 2-7 赤丸)。
図 2-5 (4.7K)
図 2-5 マスクを使った流し込み
この状態で描画色に黒を選択し、「塗りつぶし」を実行します(Alt+DEL)。すると、レイヤーマスクで白く表示された部分だけに「流し込まれる」かたちで黒の輪郭線が出来上がります(図 2-5)。
画面 2-8 (1.7K)
画面 2-8
 ここまで来たらもうマスクに用はないので、レイヤーマスクを削除します(画面 2-8)。マスク処理を反映するかどうか聞いてくるので、「反映する」を選択します(画面 2-9 赤丸)。

画面 2-9 (1.1K) 画面 2-9
図 2-6 (5.0K)
図 2-6 レイヤーマスクの削除
すると画面のピンク部分(レイヤーマスク)が消えて白黒に戻ります(図 2-6)。
図 2-7 (5.3K)
図 2-7 透過レイヤーの完成
 この状態で背景レイヤーの表示を ON/OFF すれば、輪郭が透過レイヤーになっている事がわかると思います(図 2-7)。これが確認できれば「白地に黒」の輪郭線に用はないので、背景レイヤーは白で塗りつぶしてしまいます。この段階でも再び「名前をつけて保存」しておいた方がいいでしょう。

2−3 線修正

 ペン入れ−スキャンの終わった原稿は一見すると奇麗に見えますが、細かく見てみるとあちこちにミスが目立ちます(特にペン入れが下手だと…)のでクリーンアップ作業を行います。私は線修正をレイヤー透過後に行う習慣ですが、透過作業の前段階すなわち白地に黒の輪郭画像上で先に修正しておいても構いません。
 さて無修正(はずかしー)原寸の線画は図 2-8 のようなものです。

図 2-8 (15K)
図 2-8 修正前の線画(原寸)

 線が不連続だったり切れている個所、太さにムラのある個所などが修正の対象です。図 2-6 に丸で示したあたりが主要な修正点ですが、右目の瞳のラインがガタガタになっているとか、左手人差し指と小指のラインが太すぎるとか、前髪のラインには全面的な修正が必要だとか、細かく見てゆけば必要な修正点は沢山あります。

 最終的には縮小することを考えつつ、目立つ個所を根気よく修正してゆきましょう。修正にはペイントツールpaint・消しゴムツールeracer・エアブラシツールbrushなどを駆使します。濃淡を表現するには色の濃さではなく、ペンやブラシの透過度(Opacity)を使って表現します。さもないと、あとから着色レイヤーを重ねたときに灰色が「浮いてしまう」現象が起きることになります(この場合はもう一度2−2のレイヤー透過操作を行って濃度を透過度に変換することも可能です。少々面倒ですが)。

 400dpi 原画のまま作業すれば線の太さにはかなり余裕があるので、3ないし5ピクセルのエアブラシで圧力(透過度) 60%、筆圧検知=圧力変化に設定して何度も重ね描きするようにトレースすると奇麗な線が出しやすいです。ペイントツールを使えば筆圧検知=ブラシの太さに設定できますが、PhotoShop 上で筆圧を使い一発で奇麗な線を引くのはとても難しいのです。私は太めの線を引いたあと消しゴムツールで「削り出して」ゆく方法を多用します。こういった作業は別レイヤーを作成した上で行えば楽ですし、失敗しても下絵を損なうおそれがありません。

図 2-9 (14K)
図 2-9 修正後の線画(原寸)

 修正後の同部分を図 2-9 に示します。最終的に縦横 1/2 に縮小する割には少々「奇麗に」仕上げすぎかも知れません(^^;)。1/2 サイズでの線画(全身像)を図 2-10 および 2-11 に示します。

図 2-10(20K)
図 2-11(20K)
図 2-10 修正前の線画(クリックすると拡大)
図 2-11 修正後の線画(クリックすると拡大)


[その3]へ続く…

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