コンピュータ死語辞典


【ハンドアセンブル】
 CPUのニーモニックからマシンコードへ手作業で翻訳を行うこと。これに精通したプログラマはもはやマシンコードを暗記してしまい、マシンコードで直接プログラミングを行ったりマシンコードだけを見てデバッグを行え、人間アセンブラの異名を取った。

【逆アセンブラ(略)逆アセ】
 マシンコードからニーモニックコードへの変換を行うソフトウェア。現在ではデバッガに内蔵されていて当然の機能だが、当時のマイコンではメモリが少なすぎデバッガを多機能にするとターゲットプログラムのスペースが無くなってしまうので、これらは分離して使用されることが多かった。第一、当時満足なデバッガなどあるはずもなく、あるのは勘と経験と逆アセンブラだけだったのである。

【機械語】→マシン語

【マシン語】
 アセンブラの普及以前、マイクロコンピュータのマシンコードがそのまま(16進ダンプリストの形式で)プログラムとして流通しており、機械語あるいはマシン語と呼ばれていた。OSもアセンブラもない時代、これらのプログラミングには相当な知識と能力が必要であり、これができるかどうかが優秀なプログラマーかどうかの判断基準にもなっていた。理解しにくいことから、魔神語、奇怪語などの漢字が当てられることもあった。

【裏レジスタ】
 Z-80 は AF および BCDEHLIXIY のレジスタに対応する「裏」レジスタを持っていた。本来は割り込みハンドラの処理を高速化するための機構であるが、これをメインプログラム中に使うのはよほどのヘタクソか超高級技巧の持ち主かの両極端だった。

【ポジション・インディペンデント】
 実行形式のオブジェクトがメモリアドレスに依存しないこと。BASIC 環境下ではフリーメモリのアドレスが不確かであった上、リンカ・ロケータなどの環境のない当時ではポジション・インディペンデントなプログラムは重宝された。しかし、Z-80 を筆頭とする 80 系 CPU これが大の苦手でもあった。

【内部ルーチン】
 マシン語でプログラムを行う際に、BASIC-ROM の内部に設けられたサブルーチンを呼び出して高度な処理を行うこと。いわば BIOS の原形である。ただし BIOS と違って公開もされていなければ呼び出し手続きも標準化されていなかったので、BASIC のバージョンが変わると使えなくなったりしていろいろと不便であった。

【裏 RAM】
 コンピュータに BASIC が ROM で標準装備されていた時代に、RAM のアドレスに重なって RAM が存在する場合その RAM を裏 RAM と呼んだ。下手に使うと一発で暴走する反面、BASIC の改造等には無くてはならない存在だった。なお、「基盤の裏に載っているRAM」とか「裏返しに実装されているRAM」などのギャグは軽蔑の対象となるので要注意。

【拡張 BASIC】
 ユーザーの手で独自の改造を施された、改造 BASIC 言語。マシンに備わっているが BASIC でサポートされていない機能や、新規に作成したハードウェア等を制御するコマンドを作成し、それを新規の文法として既存の BASIC 言語に追加してしまうのである。勿論拡張するための方法が公開されている筈がなく、これらは全てハッカー的な活動の産物である。

【ダンプリスト】
 機械語のアプリケーションプログラムの一流通形式。16×16バイトのブロックごとにチェックサムの付加された16進のダンプリストで、雑誌などに多用された。打ち込むのに多大の労力を必要とする。仲間内で手分けして打ち込み、日夜チェックサムと格闘した日々を覚えている者も今では少なくなった。

【チェックサム】
 あまり信用できないことで定評があった。

【PEEK / POKE】
 BASIC に備わっている、メモリの直接リード/ライト命令。これを使えるようになれば、機械語まではあと一歩だ!

【MON】
 BASIC に備わっている機械語モニタプログラム。今のデバッガとは比べ物にならないほど貧弱な代物だったが、高級言語 (BASIC) では実用に耐える速度で動かなかった当時のパソコンにとって、その存在は大きかった。

【Kコンパイラ】
 「I/O」誌上で発表された BASIC 風コンパイラ。コンパイラと言ってもいわゆるPコードコンパイラだったらしい。プログラムが楽でそこそこ速いということで、一部のユーザーから強い支持を受けていた。

【高速グラフィックモード】
 画面にノイズが発生することを覚悟で VRAM にアクセスを行うこと、あるいはそういった機能を有効にするモード。当時のマイコンは CRTC と CPU との間で VRAM を共有し、バスの競合でいとも簡単に画面にノイズ(スノー)が発生した。NEC の PC-8801、初期の PC-9801 にも備わっていたが、画面がチラチラするばかりでちっとも速くないというのが実情であった。

【サイクルスチール】
 バスサイクルの空きを利用して、CPU と DMA や CRTC などのバスマスタ間でメモリを共有すること。当時の悠長な(バスサイクル 2〜4MHz)システムでは有効だったが、その後バスサイクルが高速化し、バスの空き時間など無くなったので死語となった。なお、自転車泥棒というギャグは軽蔑の対象となる。

【PCG】
 プログラマブル・キャラクタ・ジェネレータ。キャラクタパターンを書き換えることで擬似的なグラフィックを実現する機構。これを標準搭載したパソコンは松下 JR-200日立ベーシックマスターレベル3 などが有名。ところでPCGと言われて「ハル研」を連想した人、あんた背中が煤けてるよ(^^;)

【スプライト】
 コカコーラボトラーズの炭酸飲料…ではない。PCGを更に発展させ、各キャラクタの移動・表示合成などをハード的に行えるようにした機能で、シューティングゲームなどの実現に向いていたが、ハードにベッタリ依存するため互換性を保ったまま速度や機能を向上させるのが難しく廃れていった。この機能をパソコンに積んだのは SHARP X68000富士通 TOWNS あたりが最後だと思う。

【VDP】
 Video Display Processor。テキサス・インスツルメンツ TMS9918A。MSX, Sord M5 などに搭載されたグラフィック/スプライトコントローラ初期のベストセラー。

【PSG】
 Programmable Sound Generater。ジェネラル・インスツルメンツ AY-3-8910(8912)。時に SSG(Simple Sound Generater) とも呼ばれることもある。PC-6001, MSX などに搭載された音源チップ初期のベストセラー。

【OPN】
 FM Operator Type-N。Yamaha YM-2203。PSG の上位互換機能を合わせ持つ FM 音源チップのベストセラー。

【クリーン思想】
 シャープMZシリーズで BASCI を ROM 化せず、オーディオテープからブートして各種言語・OSを稼動させる思想。システム起動に5分〜10分かかるので実用的ではなかったが、時代に先行していた点では評価に値する。

【CMT】
 カセット・マグネティック・テープの略。いわゆるオーディオ用カセットのことであり、当時は外部記憶装置の主流を占めていた。ボーレートは冗談みたいな 600〜4800bps で、当然シーケンシャルアクセスしかできず、エラーが出るのが当たり前と言うほどエラー率の高い、極めて不便な代物ではあった。市販の音楽用テープでは長すぎて不便なので、録音時間5分や10分のコンピュータ専用テープまで発売されていた。

【カンサスシティ・スタンダード】
 パーソナルコンピュータの外部記憶装置がオーディオテープだった時代に、アメリカで標準フォーマットとして普及していた記録方式。日本にもサッポロシティ・スタンダード(HUDSON 製?)という記録方式があったが、独自の記録方式を採用するメーカーが大部分だったため、一般に普及するには至らなかった。

【TOS】
 Tape Operationg System の略。CMT の制御を BASIC 言語ではなく、独立したプログラムによって管理しようとした試み。各社各様に作られてはいたが、どれ一つとして後世に名を残したものはない。DOS はマイクロソフトの商標になってしまったが、TOS はその名称とともに死に絶えた。

【MT】
 マグネティック・テープ。一般に磁気テープ全般を指すが、コンピュータ(特に Unix) の世界で単に MT と言えばテープ幅 0.5 インチのオープンリール式ハーフインチ MTである。音楽用CMTなんかと違いマルチトラックでデジタル記録するので信頼性も速度も桁が違う。互換性も高かったが、物凄くデカくて不便な代物だった。

【QIC】
 Quarter Inch Cartridge。テープ幅 0.25 インチのカートリッジ式磁気テープ。トラック密度などに数種類の変種があり必ずしも互換性は高くなかったが、ハーフインチ MT に代わって Unix データ流通の主力だった時代があった。今のようなインターネット環境など夢のまた夢だった時代、下手っぴな英文レターを書いてバークレイから送ってもらった QIC の BSD ソース・アーカイブは研究室の宝なのだった。

【マイコン族】
 マイクロコンピュータ黎明期のころのコンピュータマニアに対する総称。主にパソコン登場以前の、手作りも含めたボードコンピュータ時代に育った世代を指す。この世代の多くはパソコンという名に拒否反応を示したが、これはマイコンという言葉に My Computer のニュアンスを冠し、それを彼らの誇りともしてきたからである。

【ナイコン族】
 金がないのでパソコンが買えず、店頭でデモ中のコンピュータで遊ぶ人々に対する総称。マイコン族に引っ掛けた洒落だが、これらはパソコン登場以降のことである。
 始めは店側も寛容だったものの、長時間占拠して雑誌のプログラムを打ち込む人間が増え、遂にはテープを持ち込んでゲームを始める連中が出現するに至って店とナイコン族との関係は険悪なものとなった。ソフト持ち込み禁止の貼り紙も効果が無く、一部の店では見つけ次第リセットする等の強行手段が用いられ、またパソコンの価格も安くなった結果、ナイコン族は次第に衰退していった。

【ロード・ランナー】
 コンピュータを買ったがプログラミングをする気もなく、ただゲームをロードしては走らせるだけだった人々の総称。言葉は無くなったが、現状は今でも変わっていない(むしろ退化しているかも…それが良いか悪いかは別にして)。

【ファイラー】
 プロテクト解除ソフト(コピーツール)のデータファイル。初期のプロテクト解除ソフトは特殊フォーマット等を複製するものが主流だったが、プロテクト技法が高度化するにつれ複製が難しくなり、「プロテクト検査をかけているプログラムコードにディスク上でパッチを当てて潰す」形式に取って代わられた。ファイラーとは各ソフトごとにに対応したパッチデータ集のこと。今のところ語源は不明だが、確かこの用語はコピーソフトのベストセラー Wizard98 が最初に使いはじめたのだと思う。

【LOGO】
 コンピュータ言語の一種。1980 年代中頃 BASIC に代わる初心者向けプログラミング言語として注目され、「さよなら BASIC、こんにちわ LOGO」とまで言われた。LOGO は関数型言語の名門 LISP の血統を引く洗練された言語だったが、「概念がわかりにくい」「ソースが読みにくい」など LISP の欠点まで引き継いでしまい、BASIC をやっと覚えたばかりの初心者には手も足も出ずやがて歴史の彼方へ忘れられて行った。LOGO のタートル・グラフィックはあまりにも有名だが、それ以外の特徴は悲しいほど知られていない。

【クロックアップ 】
 CPUに供給されているクロックの周波数を上げ、コンピュータの処理速度を向上させる改造の一種。今ではパワーユーザー(これもいつか死語になるな)の専売特許という感があるが、当時のパソコンマニアの間ではごく一般的に行われていた。

【ライトペン】
 CRT モニタに直接当てる光学検知式ポインティグ・デバイス。レンズで拡大した輝点情報をフォトトランジスタで拾い出し、CRT コントローラにフィードバックしたタイミングでラスタ・コラムレジスタをラッチして座標を拾い出す。要するにファミコンの光線銃と同じ動作原理である。非常に安価なうえ操作が直感的という特長があり一時期はポピュラーに使われていたが、比較的精度が悪く、画面の暗い部分に反応しない(全領域に対応するには画面をフラッシュさせる必要がある)、長時間使うと腕がだるくなる(^^;)という欠点もあり、やがてマウスの発明により衰退していった。

【RF モジュレータ】
 コンピュータから出力される NTSC コンポジットビデオ信号を、家庭用TVで受信可能な UHF 帯に変調する装置。しかし解像度が著しく落ちる上色化けも起こしたので横 80 文字などはとても読めず、ゲームくらいにしか使用できなかった。その後ビデオデッキの普及により安価なTVにもビデオ端子が付くようになり、またパソコン側も RGB 出力が常識となってその存在意義を無くしたように思われていたが、ファミコンを筆頭とするゲーム機用に再び商品として返り咲いている。

【放電プリンタ】
 アルミコーティングを施した専用紙に対し、印字ヘッドに設けられたギャップから高電圧のスパークを飛ばして印字するという過激な原理のプリンタ。可動部分が少ないので、低コストで製造できるのが利点だった。印字幅英数40文字程度でロール紙に印字する、いわゆるミニプリンタ的なものだったが、それでも当時は感熱プリンタと共に堂々とパソコン用周辺機器として売られていた。

【音響カプラ】
 音声帯域の変調/復調器を持った、シリアル回線(RS-232C) と電話機の接続装置。モデムが普及する以前は、コンピュータ通信はこの装置で行う以外に方法がなかった。人間が手でダイヤルを回してアクセスし、「ピー」というキャリア音を確認して大急ぎで受話器をカプラにはめ込むのである。通信速度 75〜600bps 程度で信頼性が低く、通信中大声を出したり机を叩いたりするのは禁物だった。XMODEM はもともと、この低信頼性を克服するために開発されたプロトコルである。

【BELL 103, CCITT V.24bis, Hayse AT】
 モデムを買うと DIP スイッチでコマンドモードをこの三者から選択するようになっていた。BELL 103 とはアメリカ・ベル社純正音響カプラのコマンド体系、V.24bis は国際標準規格。しかし最後まで残ったのは、一番いい加減で安易な拡張を許したヘイズ AT コマンドだった。

【ADM-3A】
 BASIC の TERM 文でターミナルモードを起動するとき、オプションで ADM-3A 互換モードが選べるようになっていた。ADM-3A とは Zentec 社のシリアル端末機(tty-terminal)で、上位機種に ADM-5 というのもあったらしい。一時期は大型コンピュータの端末と言えば ADM という時代もあったようだが、その後 Wyse WY60, DEC VT-80/100/200 というライバル製品群に押されて消えていったようだ。

【TTY】
 Tele-TYpewriter、遠隔タイプライタ。プリンタとキーボードとモデムを一体化したもので、もともとは短波・有線の通信機器として開発されたもの。CRT を積んだビデオ端末が普及する以前、コンピュータの端末といえば TTY だった。今でも Unix の /dev/tty 等にその名をとどめている。

【N8S1】
 日本における調歩同期通信の標準パラメータ設定:ノンパリティ、データビット8、ストップビット1。ASCII コードを使うアメリカでは E7S1(偶数パリティ、データビット7、ストップビット1)が普通だっため、最上位ビット情報を無視する7ビットマスクが使われることが多く、現在のインターネットにもメール送信プロトコル SMTP 等にその影響が残っている。

【XMODEM, YMODEM, ZMODEM, TRANSIT, B-PLUS, KERMIT, その他】
 バイナリファイル転送プロトコルの数々。「標準規格ってのはつまり、沢山ある中からどれか好きなのを選べるってことだよ」。

【JUST-PC】
 ほとんど使われることなく消え去った郵政省推奨パソコン通信接続手順。ワープロ「一太郎」で有名なジャストシステムとは何の関係もない。

【uuencode, ISH, BinHex その他】
 バイナリ←→テキスト変換形式の数々。「標準規格ってのはつまり(以下略)」。修正パッチや画像の一部などを BBS に貼り出すときや、メールに添付するときこれらのツールの世話になったが、今では Base64 を使うのが標準となり他の形式はあまり見かけなくなった。

【鮪】
 MAG Loader をもじってマグロと呼んだもの。MAG とは 16/256 色のグラフィックファイルフォーマットで、仕様が広く公開されたおかげで日本国内では良く流通しており互換性も高かった。MAG の前身に MAKI(MSX 用フォーマット)があり、他には PIC, Pi, Q4 などの日本製フォーマットがあった。

【7セグメント LED(略7セグ)】
 「日の字」とも呼ばれる表示デバイス。今からでは冗談のように思えるが、NEC TK-80 や MYTAC MP-85 などのワンボードマイコンの全盛期、これがマイコンの表示装置だった時代があった。それ以前はバイナリのLED表示だったので、これでも大きな進歩なのだった。

【逆スクロール】
 読んで字のごとし。上から下へテキストが流れるスクロール。ナムコのゲーム「ゼビウス」で、上から下へとマップが流れるゲームのスタイルが大流行し、パソコン上でも真似たゲームを作ろうと熱中する人が続出したが、標準 BASIC にはこの機能がなく、それぞれの機種で苦労して実現していた。

【タイリング】
 色を交互に並べることによって、擬似中間色を表現する手法。

【クロマキー・ペイント】
 擬似中間色を描画する際に、まず別の色(青がよく使われた)で該当領域を塗り潰しておき、しかるのちにタイリング色に置き換えるという処理。VRAM 上の論理演算だけで処理できるため、メモリの少ない当時のパソコンでは多用された。

【タイリング・ペイント】
 クロマキーを行わずともタイリングによる擬似中間色を直接ペイントできる機能。メモリさえ充分に備わっていれば技術的に難しい機能ではないが、8ビット BASIC の宿命上、この機能は高級パソコンだけが持てた羨望の機能であった。

【消しゴムキーボード】
 松下JRシリーズなどに採用されていたキーボード。ゴムによる一体成形によりでスプリングとキートップを省略し、大幅な低コストを実現していたが、打ちにくい・耐久性に欠ける(使っているうちに刻印が消える)・外観が安っぽいなどと悪口を言われた。

【碁盤キーボード】
 シャープのパソコン MZ-80K に採用されていたキーボード。配列こそ QWERTY だったが、物理配列が段違いのない格子状だったためこのように呼ばれた。

【16進テンキー】
 ダンプリストを打ち込むためは、BASIC の「MON」コマンドを使ったが、これは必要最小限の機能しか持たない、不便極まりないものだった。よって、ダンプリスト打ち込み専用のプログラムが存在したが、これらはテンキーから0〜9に加えA〜Fも打ち込めるような仕様になっていた。また、ワンボードマイコンでは始めからこれが標準入力デバイスでもあった。しかし、キーの定義が16なのに「テン」キーとはこれ如何に?

【リアルタイムキースキャン】
 キーボードの状態をハードウェアマトリックス情報として得、個々のキーの ON/OFF 状態を調べること。富士通FMシリーズ、シャープX1シリーズではこれができない構造になっており、ゲーム分野においてNECに苦汁を飲まされる結果となった。

【PC-8801 のキーボード】
 パラレルのマトリクスをそのまま延長して引き出したため本体とキーボードを結ぶカールコードが異様に太く、そのコネクタのピン数も異常に多かった。

【PC-8801FH/MH】
 広告文句は「私は、最新鋭のCPUを搭載しています」。…最新鋭には違いなかったが、クロック 8MHzの Z-80H は果たして最新鋭の名に恥じない性能だったのだろうか?

【YIS】
 Yamaha Interigent System の略。前代未聞、空前絶後の家具調パソコン。モデルハウスと一緒に展示するという販売方法も、他に類を見ないユニークなものであった。

【JR】
 松下のパソコン。または、Z-80 の相対ジャンプ命令。国鉄のことではない。

【バブルメモリ】
 果たして、これを覚えている人がどのくらいいるのだろう?ガーネットの結晶中の空泡を磁化して情報を記録する、可動部分のない理想的な磁気記録媒体として注目された。しかしコスト高や集積度の限界によって、名の通り泡のごとくはかなく消え去った。

【ノイズ】
 そう、当時のコンピュータのノイズはすごかった。パソコンの電源を入れたら最後、TVも見れなきゃラジオも聞けない。隣に置いたオーディオセットにまでノイズが侵入する有様だった。

【ADLIB】
 PC/AT 用音源カードとして勇名なのが Creative Lab.SoundBlaster シリーズだが、実は SB シリーズ以前に ADLIB という会社がサウンドカードを売っていた。SB はもともと ADLIB 上位互換だったのだが、何時の間にやら SB の方がデファクトスタンダードとなっていた。

【ARC】
 世界最初の PC 用(DOS 用)ファイル圧縮アーカイバ、ARC software 社(だったと思う)によって開発された。遅くて効率が悪く使い勝手が悪いことで定評があり、PKWare 社がより高速で使いやすく上位互換のある PKARC を発売したが、ARC 社は自社製品を改良するのではなく PKWare 社を訴え PKARC の発売を止めさせる暴挙に出た。その後 PKWare 社は ARC と全く互換性のない高速圧縮ソフト PKZIP を発売して一気にシェア獲得、相変わらず遅くて使いにくい ARC を売り続けた ARC software 社は早々に消滅した。

【84 keyboard】
 現在世界的な標準である 101keyboard が発売される前、IBM-PC/XT の標準キーボードは独立したカーソルキーを持たない 84key だった。この時にはまだ CTRL キーは SHIFT の上、A の左隣だった!(その代わりバックスラッシュやエスケープが超ヘンな位置についている^^;)

【Weitek 4167】
 intel 386 が出荷された頃、パソコン用浮動小数点コプロセッサの市場はひどく混乱していた。純正コプロセッサ 387 は出荷が遅れ、1世代前の 287 は値段の割に遅く、FasMath(これも死語) などの互換コプロセッサが注目される有様だった。そんな中で、Compaq DeskPro/386 がオプションとして採用したのが Weitek 4167 である。もともとワークステーション用として開発された同チップは当時最高のスペックを誇り、Compaq を手本としてマザーボード上に 4167 ソケットを設けるのが流行となり、一時期はそのまま業界標準となるかに思われた。しかし、その後の純正コプロセッサの安定供給、付加価値の下落などで次第に影が薄くなり、コプロセッサを内蔵した intel 486 の登場によってその息の根を断たれたのであった。

【Cyrix Cx486】
 intel 386 のピン互換性を持つ高速版 CPU。386 互換の Cx486DLC と 386SX 互換の Cx486SLC の2種類があった。命令実行速度が高速化され内部キャッシュを持つことでピーク性能約2倍に達し、マニアの間では CPU 交換しクロックアップすることが流行した。ただし ノート用 386SX の QFP パッケージの半田付けを剥がし再実装するのは高度な技量を要し、失敗して壊してしまう人も多かった。そういう人向けに「QFP ソケット」も売られていたが、このソケットは接触不良が多くて殆ど実用には堪えなかった。

【Hercures】
 ヘラクレスまたはハーキュリーズと呼ばれる、IBM-PC 用 MDA(Monochrome Display Adaptor) 上位互換の拡張ボード。純正 MDA(640x350) に対し 720x350 の高解像度モードを持ち、またボード上にプリンタインターフェース回路を搭載し、プリンタコネクタを持っているのが特徴だった。Hercures の発売以降、互換品も含めてこの仕様が標準となり、ほとんど全てのモノクロビデオカードにプリンタコネクタが付属することとなった。

【XGA】
 IBM が PS/2 シリーズ用に開発した 1024x768 の高解像度グラフィックボード。マイクロチャネルバス専用のうえ仕様が公開されなかったため互換品が出ず、名前だけを残して消え去った。なお、XGA に漢字 ROM を積んだ日本語版は「8514/A 日本語表示装置」と呼ばれる。

【JEGA】
 DOS/V 登場以前の日本語AT規格「AX」で制定されていた漢字 ROM つき拡張 EGA カード。640x480 の解像度を持っていた先見性は評価に値するが、AX評議会が単品販売を認めなかった(AX-DOS の添付を認めなかった)ため普及しないまま消え去った。

【GDC】
 Graphic Display Controller。NEC μPD7220。PC-9801 に使われたグラフィック表示/描画コントローラ。動作クロックは当初 5MHz、のちに 8MHz に向上されたが、古いソフトはディップスイッチで 5MHz モードに設定しないと画面がグチャグチャになった。

【EGC】
 Enhanced Graphic Charger。もともとは4プレーンの G-RAM に対し論理演算を行う GRCG(Graphic RAM Control Gatearray) と呼ばれた回路を GDC 経由でも動作するよう拡張したもの。PC-9801V シリーズ以降に搭載。これによって、GRCG オンリーの製品は悪名高き PC-9801U2 ただ一機種となってしまった。

【AGDC】
 Advanced Graphic Display Controller。NEC μPD72120。日立のヒット商品 ACRTC(HD63484) に対抗したもので、PC-98H シリーズの一部に搭載。PC-98H そのもの同様、儚い夢のようなものだった。

【CP/M】
 Control Program for Microcomputer。Digital Research 社の作った簡易OS。もともと 8080 用として開発されたが 8086 用(CP/M-86)や 68000 用(CP/M-68K)も存在した。バンクメモリ対応の CP/M+、マルチタスク対応の MP/M など変種が多い。初期の貧相なマイコンシステムには必要充分な機能を備えており圧倒的シェアを誇ったが、そのシェアに居座るあまりバージョンアップを怠り、互換品であるMicrosoft DOS(MS-DOS)に市場を奪われてしまった

【PIP】
 CP/M のファイル転送コマンド。トランジェントコマンド(外部コマンド)なのでディスクに PIP.COM (CP/M-86 の場合は PIP.CMD)が入っていなければ使えない。転送先・転送元のファイル名指定順序が MS-DOS の COPY や Unix の cp と逆 (PIP dst = src) なので、混用しているとしばしばソースファイルを上書きして泣きを見た。

【SUBMIT】
 CP/M のバッチジョブ実行コマンド。MS-DOS の「バッチファイル」に相当するが、PIP と同様トランジェントコマンド。なお、DIR や ERA(MS-DOS の DEL に相当) など COMMAND.COM に内蔵されたものはビルトイン・コマンドと呼ばれた。

【リブート】
 CP/M ではメモリを節約するため、アプリケーション起動と同時にシェル(COMMAND.COM)の一部を空きメモリに充て、アプリケーション終了時にメモリの破壊状況をチェックサムで調べ、もし壊れていたらシェルを再ロードする仕組みだった。これをリブートと呼び、^C の入力で強制リブートすることも可能だった。この時もしシステムディスクに COMMAND.COM が入っていないとシステムが停止してしまう。CP/M をそっくり真似た MS-DOS でもこの機構は(よせばいいのに)継承されており、DOS 2.11 あたりではよく「COMMAND.COM がロードできません」が出てシステムが止まったものだった。これを回避するため SET COMSPEC= を設定したり /P オプションを付けたりするのが「MS-DOS を○×倍使う」TIPS だったという、古き良き(?)時代の話である。

【GEM】
 Graphical Environment Manager。Digital Research 社が出した MS-DOS 用ウィンドウシステム。外見といい操作性といい Macintosh の Finder そっくりなのが泣かせる。しかも GEM の登場直後に Microsoft Windows 1.0 が発表されたため、ほとんど流行ることなく消えて行った(その頃からあの会社はライバル潰しが得意だった…)。

【TSR】
 Trangent Stay Resident、常駐プログラムのこと。コンピュータウィルスの基本テクニックでもある。Trangent という名前は CP/M の TPA(Trangent Program Area) から来ているが、よい子はこんな化石みたいな知識で時間をつぶさないようにね(^^;)

【EMS,XMS,HMB,HMS】
 MS-DOS の 640K メモリ制限を克服するため開発された様々な(姑息な)技法の数々。EMS は Extended Memory System で 16Kbyte/page のバンクメモリ、XMS は eXpanded Memory Space で 286 以降のプロテクトメモリ空間、HMB は High Memory Block(UMB:Upper Memory Block とも言う) で 640K 以降の空き領域を RAM 化して常駐プログラムやデバイスドライバをロードする手法、HMS は High Memory Space で 286 のアドレス変換バグから生まれた 1M オーバー 64K バイト(正確には 65520byte)のリアルモード拡張空間。日本語では「拡張メモリ」「拡大メモリ」「上位メモリ」「高位メモリ」と訳されて素敵なくらい訳がわからなかった。

【バンクメモリ】
 あぁ、そんなのもあったな(それだけかよ)。

【LIM】
 EMS 開発時に何種類かの競合規格があったが、Lotus, Intel, Microsoft 三者の支持を得た LIM-EMS が標準の座を勝ち取った。のちに Lotus が IBM に買収されることなど、当時は誰が想像しただろうか。

【DIX】
 ついでだから書いておこう。イーサネットが 802.3 規格として IEEE に登録される前は、提唱者 DEC, Intel, Xerox の頭文字を取って DIX-Ethernet と呼ばれていた。のちに DEC が Compaq に買収されることなど、Lotus が IBM に買収されるよりも想像できないことだった。

【VL バス】
 正しくは VESA Local Bus という。PCI 普及以前に一瞬だけ流行った高速バス。初期製品は不安定で互換性が低いことで定評があり、やっと安定した頃に PCI が隆盛してきて消え去った。なお、VL バスは消えてもビデオ周辺機器標準化団体 VESA は健在なので誤解のないように。

【バス戦争】
 米国で IBM OS/2 こそ次世代の OS だと信じられていた頃、それを動かすプラットフォームとして IBM 提唱する MCA(マイクロチャネル) と互換機メーカー提唱する EISA のふたつが大戦争を繰り広げたことがあった。東洋の某国の某N社ではこの戦争に参入すべく NESA とか呼ばれるバスが作られたとする資料もあるが定かではない。

【HP-IB】
 IEEE488(GP-IP) の原形となったバスアークテクチャで、「親亀・子亀」式にスタッキング可能なコネクタ形状が特徴。計測器に多く使われたが、これをプリンタやハードディスク等の周辺機器接続用に採用したパソコン(コモドール)やワークステーション(HP)も存在した。

【次世代フロッピーディスク】
 2ED、2TD、フロプチカル、そういや 2 インチフロッピーってのもあったな。1メーカー1規格というくらい乱立していたが、どれも生き残ることはできなかった。それでも IBM の 2.88Mbyte 2ED はたま〜に見かけてビックリすることがある。

【8インチFDのライトプロテクト】
 5インチのようにテープを貼るのではなく、ましてや3.5インチのようにタブを動かすのでもなく、8インチFDではジャケットの一部を切り取ることでライトプロテクトを実現していた。口の悪い技術者はこれを「割礼」と呼んだらしい(^^;)。

【シーク0コマンドを二回発行】
 IBM-PC, PC-9801 に使われた FDD コントローラ NEC μPD765 でヘッド位置をリセットするときシーク0コマンドを発行するのだが、このコマンドはヘッドを「最大77トラック」移動するものだった。これは8インチFDのトラック数が77だったからだが5インチ・3.5インチでは80トラックに増えたため、コマンドを二回発行する破目に陥った訳である。改良型 μPD72065 では設定ビットによって80トラックにも対応したが、IBM-PC の BIOS では今でも μPD765 互換としてシーク0コマンドを二回発行している筈である。

【ドライブDのランプが点きっ放し】
 これもμPD765 の話。FDD のシュガートバス(死語)には最大4台のドライブを接続できるのだが、μPD765 ではドライブ選択信号を 2bit のバイナリ値として出しており、アイドル時は 11 つまりドライブ3が選択状態となっていたのでドライブDのランプが点きっ放しとなった。これを抑止するためドライブ側の設定で「SELECT ラッチモード」を選択する必要があった。μPD765 には他にもオートスキャンとかメディアチェンジ検出とか嫌らしい機能がてんこ盛りで、ジャンクドライブを流用しようとするたびに泣かされたものである。

【スピン・コントロール】
 PC-9801 の5インチ・3.5インチ FDD には 300rpm(2D/2DD) と 360rpm(2HD) の回転数があった。そこで FD のコピープロテクトの高等テクニックとして回転数を直接変化させて意図的に異常フォーマットを作成するテクニックが存在し、ハッカー達はプロテクト破りに血眼になったものである。なお、IBM-PC の FDD は 300rpm 固定である。

【内蔵VFO】
 PC-9801 シリーズの内蔵 2DD/2HD 自動切換えフロッピードライブは、本来外付け部品であるはずの VFO(クロックセパレータ)が内蔵されているという特殊仕様で、これに対応したフロッピードライブ(FD1155D, FD1157D など末尾に 'D' のつくモデル)を使う必要があった。VFO と聞いて SED9421 などという型番を連想した人は、きっと外付け VFO ユニットを自作した経験があるに違いない。

【外付け自動切り替えドライブ】
 Cバスに差した拡張カードから強引に信号を入れ、外付けドライブを内蔵とみせかけて強制的にモード切り替えするドライブ。PC-9801 シリーズではもともと 2DD と 2HD の回路は別物であり、内蔵自動切り替えドライブというのは二本の信号線を一台のドライブに接続したものに他ならなかった。しかし外部 FD 拡張コネクタには 2DD と 2HD の信号が別々に出ているので、正攻法では外付け FD に自動切り替えドライブを接続することができない。強制切り替えタイプの製品が発売されるまで、2HD/2DD 混在5インチ・3.5インチのメディア変換は不便で仕方がなかった。

【モーターが止まらない】
 まだまだあるぞ PC-9801 の FD 関係。PC-9801 の 2HD とはすなわち8インチ互換であり、NEC の8インチドライブにはスピンドルモーター停止信号が無かったので、5インチだろうが3.5インチだろうが 2HD モードではモーターが回りっ放しだった。しかし 2DD モードでアクセスすると一定時間後にモーターは停止する。これは前述の通り 2HD と 2DD の回路が別物だからだが、素人目には摩訶不思議に思えて仕方がない。のちにノート型パソコン PC-9801note が発売されたときディスクの摩耗・バッテリ消耗を防ぐため、初めて「2HD でもモーターを止める」機構が導入された。

【3モードドライブ】
 2DD (300rpm/720Kbyte) と違って PC-9801 の 2HD(360rpm/1.2Mbyte) と IBM-PC の 2HD(300rpm/1.44Mbyte) では互換性が無かったので、この3モード全てを備えた FDD が PC-9801 からの移行期に流行ったことがあった。

【JAPAN2HD.SYS】
 3モードドライブだけでは PC-9801 の標準フロッピー(1024byte/sector)は読めない。IBM-PC には「セクタ長は 512byte でなければならない」という「闇の掟」が存在するのだ。そこで1セクタを二回に分けて読み書きをシミュレートするドライバが Nifty-Serve FDEVICE の橘屋鶴蔵氏によって作られた。若干不安定だったがこれのお世話になった人は多い筈。

【/5 と /9】
 PC-9801 MS-DOS の FORMAT コマンドの隠しオプション。/5 は 512byte x 15 sector 1.2Mbyte、/9 は 512byte x 9 sector 720Kbyte の IBM-PC 互換フォーマットを生成する。しかしフロッピー関係の死語って多いねぇ(汗;)

【CHS】
 Cylinder, Head, Sector の略。BIOS で HDD のタイプを設定するときにこの三種類のパラメータを設定しなければならなかったが、実はこの三つを掛けた結果が総セクタ数にさえ一致すれば割り振りはどうでもいいといういい加減なもの。ただし C=12bit, H=6bit, S=6bit の制限があるため 1024*64*64*512(byte)=2Gbyte という制限が生まれた。の制限はそっくりそのまま DOS ファイルシステム(FAT16)に継承され1パーティション 2Gbyte の悲劇を生むことになる。なお、Enhanced 以前の古い IDE では H=4bit に制限していたため 1024*16*64*512=520Mbyte の制限というものもあった。

【TYPE1〜TYPE47】
 AT 互換機の BIOS で HDD の設定をすると必ずこいつらが出現する。ST-506 時代の 10Mbyte だの 20Mbyte だのメチャメチャに古い CHS パラメータばかりで何の役にも立たない。元祖 AT との互換性を保つ(必要があるのか?)ための盲腸みたいなもんである。

【ESDI】
 Enhanced Strage Device Interface...だったかな?忘れた。これも PS/2 の独自規格。対抗規格?に SMD...Strage Media Device? とかいうのもあった。それ以前には ST-506 とか ST-412(何故か 412 のほうが新しい) とか言うのもあったが、今となっては石器時代よりも昔の記憶。

【SMIT】
 これは国内メーカーが開発した自称「画期的」な転送方式。何がどう画期的かと言うと…16bit の C-BUS 空間に対して 32bit メモリアクセス命令でリード/ライトをかけることにより、フェッチサイクルが省略されて 20% ほど速くなるというだけもの。なるほどアイデア賞ものだが画期的とは全然思わない。SMITが何の略かは忘れたし、もうどうでもいいや(^^;)。

【マルチセッション対応】
 EOF 以降の追記レコードが読める CD-ROM ドライブを指す。CD-R の普及はるか以前、CD-ROM ドライブはシングルセッションが普通だった。しかし Kodak Photo-CD が追記レコード方式を採用したため、慌てて CD-ROM ドライブを買い替えたり ROM 交換に奔走する人々の姿が見られる体たらくとなった(彼らが本当に Photo-CD 対応を必要としていたのかどうかは知らない)。当時二倍速で一台5万〜6万円してたんだもんね。今じゃ信じられん。

【/MBR】
 HDD にマスター・ブート・レコードを書き込む FDISK の隠しコマンド。PC-9801 用の HDD を再フォーマットしてもブートレコードは更新されないため、/MBR の存在を知らずに「DOS/V が立ち上がらない〜」と泣き付く人が多かった。…しかし Win95 上で FDISK /? とやっても /MBR は表示されないぞ?いまだに隠しコマンドなのか?!

【/M:AT】
 IBM 純正 Windows 3.x を AT 互換機上で動かすときに HIMEM.SYS に与えなければならなかった隠しパラメータ。今やこんなもん本当に死語以外の何者でもない。

【Sweet 16】
 突然飛んで Apple][ の話題。Apple][ の頭脳である モステクノロジー MCS6502 は 8bit のレジスタしか持たなかった。そこで Apple][ ではダイレクトページ上に 16bit 仮想レジスタが用意され、システム ROM で 16bit 演算機能が提供されており、これをスィート・シックスティーンと呼んだ。MS-BASIC にも浮動小数点の仮想レジスタ FAC(Floating-ACumlator) という似たようなモノがあったが、その当時からアップルとマイクロソフトの命名センスが月とスッポンだったことを物語る。

【MockingBoard】
 Sweet Micro Systems 社製の Apple][ 用サウンドカード。商品名は MockingBird(クロウタドリ) のもじりで「モッキンボード」と発音する。仕様が公開されたため対応ソフトも互換品も多く「デ・ファクト・スタンダード」の先駆けとなった。当時日本のパソコン市場に「サードパーティ」という考え方はほとんどなく、MockingBoard 対応ゲームが続々と出る Apple][ を羨ましく思ったものである。

【DA】
 デスク・アクセサリ。Macintosh System 6 以前における常駐プログラムの呼称。これらは「FONT/DA mover」というツールを使っ組み込む必要があった。これを真似て「THE BASIC」誌上で MS-DOS(PC-9801) 用常駐プログラム API を「DAM(デスク・アクセサリ・マネージャ)」として標準化しようとしていた事もあった。

【マルチファインダー】
 ファインダー(Finder)とは Macintosh における GUI シェル。System6 ではオプション機能として擬似マルチタスクがサポートされていたが、それを実現するには標準のファインダーに換えてマルチファインダー(MultiFinder)をインストールする必要があった。わざわざ二つに分かれていたのは、MultiFinder にはメモリ食らい(System7 未満の Mac は 8Mbyte 以上の RAM を認識しなかった)のうえ不安定気味という欠点があったからである。

【スタック】
 Macintosh と言えば Hypercard という時代があったのである。Hypercard は天才ビル・アトキンソンが作り出したマルチメディア連携データベースシステム(今の HTML+Javascript のようなもの…もっと強力だけど)であり、そのデータファイルは「スタック」と呼ばれた。ユーザーからは圧倒的指示を得ていたが肝心の Apple 社は Hypercard の普及に気乗り薄で、バージョンアップもせず長いこと白黒画像しか扱えない制限などが残り、折角の先見性をムザムザと潰してしまったのは残念。

【MACSBUG】
 Macintosh に内蔵されているデバッグモニタ。システムがバグると往々にして出現する。その使い方は謎に満ちており、極めた者は真の Mac ハッカーとして尊敬された…と伝えられる。原形はモトローラ純正の 68000 開発システム "EXORmacs" の組み込みデバッガらしい。極初期の Mac では ROM に内蔵されていたが、SE 以降は拡張書類としてディスクに置かれたとのこと(小松さん提供の情報)。

【ADB】
 Apple Desktop Bus。Macintosh 用のキーボード・マウス類接続インターフェース規格。キーボードとマウスのコネクタ(形状は寸分違わない)を間違えても動かない AT 互換機に対し、一本の ADB に複数台のマウスやキーボードを同時に接続してもちゃんと動くのは Macintosh ユーザー自慢の種だったが、Apple 社は ADB に見切りをつけ USB に鞍替えしてしまった。

【LC バス】
 Macintosh II シリーズには高い拡張性を持つ NuBUS が搭載されていたが、コスト高につくため廉価機の LC シリーズには独自の拡張バスが搭載されており、これをLCバスと読んだ。LC, LCII, LCIII, SE/30, LC520, LC630, Color Classic 等これを採用した機種は多く、皮肉なことに本家 NuBUS より LC バス用カードのほうが安く種類も豊富な拡張カード類が出回る結果となった。

【3270】
 (悪名高き)IBM 大型汎用機の専用端末。

【StarLAN】
 Ethernet 普及以前、低価格 PC 用のネットワークアーキテクチャとして有望だった規格。他にも ARCNet とか IBM の TokenRing, Apple の LocalTalk, LocalTalk を PC に移植した PhoneNet 等があったが、いずれも Ethernet によって一掃された。しかし TokenRing は一部基幹系でしぶとく生き残っている。

【CheaperNet】
 今では 10BASE-2 と呼ばれる 50 Ω同軸ケーブル(RG-58A/U) を使った Ethernet の物理伝送線規格。それ以前のイエローケーブル(10BASE-5) に比べて安価だったので「チーパネット」と呼ばれた。またケーブルが細いことから Thin Ethernet と呼ばれることもあった。時々 ArcNet の 75 Ω同軸ケーブル(3C-2V) が混ざって誤動作したのも今では懐かしい?思い出である。

【MAU】
 Media Attachiment Unit の略。Ethernet 規格では 15pin の AUI ケーブル を使って物理伝走線とネットワーク機器を接続しており、この間に入るメディアアクセス機器をMAU(まう)と呼んだ。しかし実はMAUとは IEEE802.3 規格での名称であり、Ethernet が Xerox の商品だった頃は「トランシーバ」と呼ばれていたので、この名前で呼ぶ人も多かった。なお、TokenRing の場合は「HUB」や「MAU」の意味が Ethernet とは異なるので要注意である。

【ハートビート】
 正式には SQE と呼ばれる。何の略かは忘れた。AUI からのパケット送信後意図的に衝突信号(CD)を発生することで「衝突検出回路が動作していることを保証する」という機構。もとの Ethernet にはなく IEEE802.3 規格で新たに導入された。しかしうっかり SQE モードにしたMAUをブリッジに接続したりすると、全セグメントに衝突信号が伝達されてネット効率がガタ落ちになってしまう困り者でもあった。

【Acess/PC と 3+Open】
 Microsoft は DOS 用ネットワークシステムとして「Microsoft Networks」規格を作ったが、自分では販売せずに LAN インテグレーターを通じて OEM 販売する戦略を取った。名乗りを上げた二社のうち Ungerman Bass 社のリリース版が Access/PC、3COM 社のリリース版が 3+Open である。MS Networks はのちに OS/2 をサーバにする IBM LAN Manager さらに LAN Server に発展し、一方 Microsoft 自身も Windows3.11 For WorkGroup からネットワークソフトの販売を開始、やがて NT3.1/3.5/4.0 Win95/98 と広まってゆくにつれバグが派生したりその場限りの拡張が取り入れられたりして、次第に収拾がつかなくなってゆく。なお、のちに Microsoft が始めたプロバイダ事業「Microsoft Network」は Microsoft Networks と全く関係がない。また、簡易データーベースソフトである Microsoft Access と Access/PC の間にも何の関連もない。

【NetBIOS, NetBEUI, SMB】
 NetBIOS は Network Basic I/O System, NetBEUI(信じ難いことだがネットビューイと発音) は NetBIOS Extended User Interface, SMB は Serer Message Block。信じられないことだが、これらは全て Microsoft Networks に使われるプロトコルの名称である。MS Networks には上記のようにあまりにも多くの製品名がありすぎるので、ネットワークの規格を指す固有名詞が存在しない。仕方がないので特定の商品に依存しない「MS Networks 系プロトコル」を指すため NetBEUI(ネットワーク層), NetBIOS(トランスポート層), SMB(プレゼンテーション層) と呼ぶ習慣になった。

【INETBIOS】
 NetBIOS はプロトコルの名前であると同時に API の名前であるが、INETBIOS は DOS 上で TCP/IP を扱うために作られた純然たる API の名称。しかも制定者は日本の ASCII であり Microsoft とは関係がない。BSD-Socket の使えない DOS 上で TCP を使うにはそこそこ便利な規格ではあったが、名前が紛らわしいのは何かと間違いの元だった。


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