Re2005(14K) イラストについて

 イラストは手元にあった第352飛行中隊所属機の写真を元にしています。何せ資料の少ない機体でして、細部にはかなり想像が入ってることを告白しておきます。特に主翼の平面形は怪しいです。
 イタリア機と言えば砂漠迷彩が有名ですが、この機はダークグリーン一色のようです。尾翼の "Sagittario" のロゴにイタリア人の粋を感じますね。ファシスト・イタリア空軍は胴体に国籍マークを描かず、白帯と白十字(サボイア・クロス)を識別マークにしていました。
 背景は格納庫らしきものを並べ防空基地の雰囲気を出そうとしましたが、連合軍の猛爆に晒された末期のイタリアで、まともな設備を持った基地が残っていたかどうかは定かでありません。



★今回はスペシャル版 CG(768x480 55Kbyte)が特別付録!何がどうスペシャルなのかは見てのお楽しみ。


トンビが産んだタカ:レジアーネ Re2005

 レジアーネ Re2005 は、第二次大戦中最良のイタリア戦闘機でした。素晴らしい流線形の胴体と矢羽のような三角形の垂直尾翼、引き締まった主翼の組み合わせはデザイン的にも秀逸で、スピードに賭けるイタリア人の情熱をひしひしと感じます。しかし、その誕生と運命は決して祝福されたものではありませんでした。
 Re2005 の原形は、空冷 1,000 馬力級エンジンを搭載した軽戦闘機レジアーネ Re2000 です。これは、当時としてはまずまずの性能を持った戦闘機でしたが、競作となった対抗馬マッキ MC200 に僅差で敗れ、正式採用には至りませんでした。
 レジアーネは 2000 のエンジンを積み換え、改良した新型で復活を挑みました。この改良型は Re2001 と呼ばれます。Re2001 の搭載したエンジンは、ドイツからライセンス生産したダイムラーベンツ DB601 でした。あのメッサーシュミット Bf109 を飛ばせた DB601 です。しかしながら、Re2001 の性能は期待とはほど遠いものでした。
 理由は外見を見れば一目瞭然、空力的不洗練です。Re2001 はあのメッサーシュミットと血を分けた親戚とは信じがたいほど、ズングリムックリの寸づまりでした。設計時間を短縮するため、大直径の空冷エンジン搭載を前提とした太い胴体に、ほとんど何の改良も加えないまま液冷エンジンを積んだのです。Re2001 の性能は不採用となった Re2000 と大差ありませんでしたが、どういう訳だか正式採用され、少数ながら量産されました(こういう不可思議な決定は戦争の常です)。
 レジアーネは再び空冷エンジンに換装した更なる改良型を開発します。これは Re2002 と呼ばれましたが、外見も性能も初代 2000 と大差ありませんでした。この時点で 2000 シリーズは既に時代遅れとなっており、2002 も敵戦闘機に正面から喧嘩を売れるような性能ではなく、主に地上攻撃機として使われました。

 三代にわたっての改良にも関わらずほとんど進歩しなかった 2000 シリーズ。しかしながら、2000 シリーズ最後の作は凡庸の伝統を覆す傑作機でした。これがレジアーネ Re2005「サジタリオ(射手座)」です。
 Re2005 は 1,500 馬力のダイムラーベンツ DB605 を搭載し、胴体はエンジンに合わせて(やっとこさ)再設計されました。主翼は 2000 シリーズの平面形を受け継いでいますが、主脚の引き込み方式は旧式然たる後方引き込みから Bf109 に似た外側引き込みに改められました。武装は 12.7mm 機銃二挺に加えドイツから輸入した 20mm 機関砲 MG151/20 を三門搭載。重武装を抱えながらも速度は 100km/h 以上向上し、最高速度は 630km/h に達しました。ここまで行くと、改良型と言うより新設計と言った方がいいかも知れません。最後の最後になって、トンビがタカを産んだのです。
 Re2005 の洗練された外観は、イタリア人の情熱と空力的センスの良さを証明していました。しかしそれは悲しくも、当時のイタリア工業力の限界をも証明していました。トンビがタカに生まれ変わるためには、エンジンや機関砲は輸入品に頼らざるを得なかったのです。
 DB605 は他のイタリア戦闘機:フィアット G50 やマッキ MC202 の改良型にも搭載され、それぞれ G55 および MC205 と呼ばれました。DB605 を積んだこれらの戦闘機は「5」シリーズと呼ばれ、Re2005 はその中でも最優秀であったと言われています。しかし、それはあまりにも遅すぎる誕生でした。生産された Re2005 はわずかに三十六機(一説によれば四十八機)、激しい本土防空戦において全機が消耗したと伝えられます。G55 と MC205 は敗戦後の新生イタリア空軍で継続使用され、G55 に至ってはエンジンを換装した改良型 G57 の再生産すら行われましたが、ましたが、Re2005 は遂に再生産されませんでした。極端に性能を追求した設計のため、強度不足の問題を抱えていたのが理由だとも言われます。いずれにせよ、ニックネームの「サジタリオ」にちなみ、射手座のロゴを尾翼に描いたスマートな勇姿はもう写真の中でしか見ることができません。


[飛行機エッセイ] [目次]
Copyright by 'Crazy' Y.Sasaki
Web Hostingweb hostingdedicated serversSSL Certificatedomain namesweb hosting