飛行機アイコン製作講座
Vought F-8E クルセイダーの出来るまで by ささき

Warbirds のアイコン&お絵描き工房に寄贈した「1dot = 10cm 規格の飛行機アイコンの製作例」です。


1. 資料を探す

 まず資料となる画像を入手します。できれば左真横から望遠レンズで撮った写真が欲しいところです(近くから撮った写真は広角レンズによる球面収差が大きい)。google を漁って、ほぼ真横(わずか右後方)から撮った NASA の F-8 写真が出てきたので、これを型取りに使うことにします。なおネットを探せば三面図や側面イラストが出てくることもありますが、中にはトンでもない大間違いイラストがあったりするのがネットの怖いところで、私はネットで入手した図面は基本的に信用しない事にしています。

Step.0 オリジナル写真

2. 方向・サイズを合わせる

 資料写真を左右反転し、画像を回転させて水平位置に機軸線を合わせます。ピトー管を除く機首先端から垂直尾翼後端までの長さを約 16.6m と算出し、166ピクセルに縮小します。

Step.1 アイコンサイズ写真

3. 輪郭線のラフ取り

 拡大表示モード(ここでは縦横4倍)に設定し、写真上にドット単位で輪郭線を打ってゆきます。この時点ではあまり正確さに拘らず、全体のプロポーションとキャノピー・主翼・尾翼などの位置形状をラフに把握するだけにとどめておきます。

Step.2 輪郭線描画中

4. 輪郭線の清書

 色置換機能を使って赤以外の色を全部白に変換し、更に赤を黒に変換したあと輪郭線のクリーンアップを行います。ここでアイコンの基礎形状が決まるので、原寸表示で全体のプロポーションを確認しつつ、納得のゆくまで何度も描き直します。

Step.3 清書した輪郭線


※ドット絵描きの基本※

ドット単位でスムーズな線を描くコツは、なるべく一定パターンの反復を心がけることです。45 度なら X:Y=1:1, 26 度なら X:Y=2:1 のパターンで描けますが、その中間の角度はすべて整数比で近似しなければなりません。縮小時にスムーズ(に見える)線を描くためには一定のパターンを反復させることが重要です。また「45 度よりわずかに浅い角度」のような微妙な線を無理に再現しようとすると段が目立ってしまうので、思い切って 45 度にデフォルメしたほうがアイコン状態での見栄えが良くなります。

直線サンプル

F-8 では垂直尾翼前縁を 1,1,1,2, 後縁を 2,2... のパターンで描いているのが目立ちますが、主翼前縁も 9,9... の一定パターンで描いたうえ、中ほどに2ドットのオーバーラップを作ってドッグトゥース表現にしています。

曲線は基本的に「傾きが徐々に変化してゆく直線」です。これは X または Y 方向に対し徐々に増加してゆくパターンを適用することで実現できます。パターンは一定方向に増加(1,1,2,2,3,3,4,5... のように)するようにします。1,2,1,2,2,3,2,3... のように進んだり戻ったりするパターンを描くとガタガタになってしまいます。

曲線サンプル


4. パネルラインを描く

 パネルラインを入れます。資料としては手元にあった出版物の図面を参考にしました。図面のパネルラインは往々にして間違っているものですが、アイコンの場合は雰囲気が再現できれば良いのであまり精度にはこだわりません。ただし方向舵の大きさと形状には気を使います。

Step.4 パネルラインが入った
ヒコーキ絵らしくなってきました。

5. グラディエーションを入れる

 色置換ブラシを使い、輪郭線・パネルラインを除いた部分に基本色を塗って陰影を付けます。米海軍のカウンターシェイド・スキームは本来影になるべき下面が明るい白で、しかも上面色のグレーと色相/明度差が少ないので立体感を出しにくい塗装です。この程度の機体なら 4〜5 段階のグラデで充分な場合が多いのですが、今回は 8 段階に細かくグラデを付けています。

Step.5 グラデェーションが入った
この時点で 13 色。

6. パネルラインを慣らす

 色置換ブラシを使い、今度はパネルラインを基本色に馴染ませてゆきます。パネルライン用の色を新たに作るのではなく、下地より一段暗い基本色で置き換えてゆき色数を節約します。
 迷彩のようにパネルラインが複数のカラーにまたがる場合、色の数だけ同じ操作を繰り返します。

Step.6 パネルライン慣らし
この時点で 14 色。

7. 細部を描き込む(I)

 コクピット内部、エンジンノズルなどを塗り、国籍マークなどのマーキングパターンを用意します。F-8E と言えば「ミグキラー」ですから、MiG 撃墜記録のある機体を描くことにします。ネットを探して出てきた VF-211 M.O.Wright 少佐機 No.104 に決めました。

Step.7 マーキング(I)
この時点で 20 色。

8. 細部を描き込む(II)

 マーキングを施します。PaintShop4 にはレイヤー機能がないのでマーキングは領域指定→コピー→ペーストで機体に重ねています。ラダーのチェッカリングは厄介で、明度の異なる赤を重ねて人力エンチエリアスをかけそれらしく見せています。主翼上面の「チラッと見える国籍マーク」も雰囲気だけ出す程度に描いています。
 せっかく描いたサイドワインダーは、機首側面に装備すると国籍マークを隠してしまうので結局使わないことにしました。

Step.8 マーキング(II)
この時点で 23 色。

9. 輪郭線を慣らす

 「アイコン」っぽい仕上がりにする時は黒輪郭線を残しても良いのですが、「CG」っぽい雰囲気を重視する場合は輪郭線を機体色に近い色に置き換え「馴染ませる」ことでスムーズな仕上がりになります。ただし機体色の延長として塗りつぶすのではなく、暗めの色を使って輪郭を強調するとメリハリが出て、明るい背景にも負けないようになります。
 再び色置換ブラシを用い、輪郭線を適当な色(隣接する機体色より1段〜3段ほど暗い色)に置き換えてゆきます。光が左上から当たっていると考え、機体の陰側になる所に強い影を入れることでメリハリが出ます。

Step.9 輪郭線慣らし
この時点で 23 色。同じ色の使い回しなので色数は増えていない。

10. 切り出し、減色

 機体周囲1ピクセルを残して切り出し、ゴミを消したあと背景色を暗いブルー(この場合 R:G:B=0:0:64)に置換して 16 色(ないし 256 色)に変換します。これは塗り残しのゴミ(暗い背景上に浮いて見える)を調べる目的もありますが、PaintShop では背景色を「最も暗い色」減色し透過設定すれば、PNG のファイルサイズが多少小さくなる(tRNS チャンクの格納形式に起因する)効果も期待しています。

Step.10 暗背景で減色

11. 透過処理

 背景色パレットを明るい水色(R:G:B=128:255:255)に変換し、透過設定して保存します。アイコンは 8bit カラー(うち 23 色使用) 168x52 ピクセル 1852byte に納まりました。

Step.11 透過処理完了


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