Focke-Wulf Fw190(18.7K) イラストについて
 外翼機銃を MG151/20 に強化した A-8 タイプ、横幅 512 といつもより大き目のサイズで上げてみました。迷彩は青味の強いグレー上に濃淡二色の緑を直線的に塗り分けた「スプリッター迷彩」というパターン。スピナーの渦巻きは「対空砲火よけのおまじない」という説と「敵味方識別塗装の一種」という説があってどちらが本当なのか、それとも両方とも本当だったのか知りませんが、ドイツ機を「それらしく」見せるには重要なポイント。回転を表現するのに白黒の境界をあえてボカして描き、強制冷却ファンは主線を使わずグラディエーションだけで描いたあと Radial Blur で回転方向にボカシ。プロペラ、パイロット、背景、マーキングは原画にはなく PhotoShop 上での直描きです。



ブレーメンの食肉鳥:フォッケウルフ Fw190

 フォッケ・ウルフ Fw190 はメッサーシュミット Bf109 と並ぶドイツ第三帝国空軍の主力戦闘機でした。液冷エンジンを搭載した細身の Bf109 に対し Fw190 は大直径の空冷エンジンを搭載した頭デッカチで、非公式ながら「モズ(独語で Wurger)」の愛称で呼ばれました。外見的には対照的な Fw190 と Bf109、どちらが真にドイツを代表する機体だったのかは今でも議論が分かれていますが、Fw190 の方が遥かに重武装・重装甲を備えていたことは確かです。Fw190 は 8mm〜13mm 厚の防弾鋼板でパイロットおよびエンジン重要部を防護し、20mm 機銃4挺+13mm 機銃2挺という武装は単発戦闘機として最強クラスに属しました。モズは英語で食肉鳥…Butcher Bird と呼びます。ドイツ上空に来襲する米重爆撃機にとって、Fw190 はまさに恐るべき食肉鳥でした。

 しかし軍用機の世界ではよくある話ながら、Fw190 は期待を背負って生まれたホープではありませんでした。1937 年、ドイツ空軍省がフォッケ−ウルフ社に命じたのは「Bf109 を補佐しえる安価で製造容易な単発戦闘機」でした。空冷エンジンの採用も決して設計者が望んだものではなく、ダイムラー・ベンツの液冷エンジンはメッサーシュミットに優先して回される手筈になっていたからです。
 言わば最初から継子扱いだったわけですが、フォッケ−ウルフ社の主任設計技師クルト・タンクは一歩も妥協せず、逆に持てる知識と経験の全てを投じ Bf109 を凌ぐ機体の開発を目指しました。自身がテストパイロットであり、第一次世界大戦の従軍経験を持つクルト・タンクのモットーは「Simple is best」。この哲学は Fw190 の精悍な外観ばかりでなく、構造や機構・操縦特性にも活かされています。
 Fw190 は主翼・胴体などを複数のコンポーネントに分割する構造になっており、戦時下の輸送・製造が容易であったばかりか、主翼や胴体を延長しより強力なエンジンを積んだ発展型の開発を促すことにもなりました。がっしり踏ん張った頑丈な主脚は Bf109 の狭くてひ弱な脚の正反対であり、不整地での離着陸を容易にしていました。Fw190 のエンジン制御系は「コマンド・ゲラーテ」と呼ばれる自動化装置によって管制されており、様々な高度・回転数において最適な燃料混合比やプロペラピッチ・過給器切り替えなどを自動化することでパイロットの負担を減らしていました。

 1941 年 2 月、初期生産型 Fw190A-1 は英空軍のスピットファイヤ戦闘機と初の実戦を交え、損害なく敵機四機を撃墜し敵味方に大きな衝撃を与えました。ドイツ空軍はただちに Fw190 を補用戦闘機から主力戦闘機に格上げし、終戦までに2万機以上が量産されることになります。一方ドイツ新鋭機の高性能に驚いた英軍では、爆撃機用のグリフォン・エンジンを搭載した改良型スピットファイヤの開発が促進されることになりました。
 Fw190 は優れた戦闘機であったばかりか偵察型・爆撃型・地上攻撃型・雷撃型・夜間戦闘機型・高々度迎撃型など各種の派生型が製作され活躍しました。この多用途ぶりはおそらく、第二次大戦に参戦した単発単座プロペラ機としては最高のものではないでしょうか。また Fw190 をベースに製作された発展型 Ta152 は一万二千メートルの高空で 760Km/h という高速を発揮しています。

 戦後、Fw190 は米軍の P-51、日本の疾風とならび「第二次大戦中最高のレシプロ戦闘機」の評価を得ています。しかし P-51 の設計が 1941 年、疾風が 1942 年であることを考えれば、1938 年という時期にこれほどの戦闘機を作り出したクルト・タンクのセンスには脱帽せざるを得ません。「ブレーメンの食肉鳥」はドイツ第三帝国を救うことはできませんでしたが、Fw190 とクルト・タンクの名前はいつまでも語り継がれることでしょう。

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