Beluga(24K) イラストについて

 いや〜、実は初めて 600ST の写真を見た時からこれをやってみたかったんですよ(笑)。「イルカに乗った」と来れば「少年」ですが、やっぱり女の子でなくっちゃね(爆)。水着は機体とお揃いのペアルックです(^o^)。
 機体はかなりデフォルメしてあり、実機はもう少しスリムです。「58」はパリのエアショーでデモフライトを披露した機体の番号。尾翼のストライプもその時のものですが、「A300-600ST」のロゴは私が独自に追加したものです。デフォルメのため尾翼が実機より幅広になり、ロゴを入れないと納まりが悪かったというのは内緒の話(^^;)。
 民間機を描いたのは実は始めてだったんですが、カラフルで軍用機とは違った楽しさがありますね。また機会があれば描いてみたいです。背景の海は Painter で描いてみました。



★なお、フルサイズ版(640x480)はCG仲間の「べるぅがさん」にプレゼントしました(むしろそのために描いたという噂も?)。フルサイズ版を見たい方は、「べるぅがホームページ」へ Let's go!


空飛ぶ白イルカ:エアバス A300-600ST

 機械の外観というものは、要求される機能を反映しています。飛行機の場合はもちろん「飛ぶこと」が第一義の機能ですが、時には飛行性能を削減してでも実現せねばならない機能を負わされることがあります。しかしながら、設計者に優れたセンスと能力があれば、過剰とも思える要求を機能美に転化することができます。それを実証する好例が、この A300-600ST「ベルーガ(白イルカ)」です。

 ベルーガはヨーロッパ各国で共同生産されている旅客機、エアバス A300 シリーズの部品を運ぶために作られました。ベルーガ登場以前、この任務はアメリカ・ボーイング製の「スーパー・グッピー」輸送機が担っていました。グッピーはアポロ計画でサターン・ロケットを運ぶために作られた、異常に太っ腹な輸送機です。こんな巨大輸送機の愛称がなぜ小魚「グッピー」なのかは少し説明ですね。
 もともと、この飛行機は「プレグナント・グッピー」すなわち「妊娠グッピー」と呼ばれていました。グッピーは卵胎性、すなわち雌の胎内で卵を孵化させ、稚魚の状態で出産する魚です。そのため出産直前の雌の腹部は異常に膨れ上がり、その姿に例えてのニックネームでした。しかし「プレグナント」という言葉が長ったらしくて面倒だったのか、はたまた女性人権擁護団体からの抗議でもあったのか、その後「妊娠」の文字が外れて単なる「グッピー」になったようです。余談ですが水槽でグッピーを飼育する場合、産まれた稚魚はすぐに隔離しなければなりません。そうしないと雌は産んだばかりの稚魚を餌として認識し、次々に食べてしまいます。

 グッピーの太っ腹は A300 の翼など巨大な部品を空輸するのにうってつけでしたが、グッピーの原形は旧式化したピストンエンジンの C96 輸送機です。メインテナンスにいちいち手間がかかる上、部品の供給元をエアバス最大のライバルであるボーイング社に依存するというのは、誇り高いフランス人のプライドを著しく傷つけるものでした。

「もう我慢できないぞ、バクハツだっ!(C)大石五郎

 とフランス人が叫んだかどうかは知りませんが、彼らはとうとう自前で太っ腹輸送機を作ることに決定しました。白羽の矢が立った原形機は双発ターボファンのベストセラー旅客機、エアバス A300-600R。ベルーガは、自分が運ぶ予定の部品をもとに作られたのです。
 しかしいくら既存機を改造すると言っても、ここまでの大改造となると新設計と大して変わりません。この新型輸送機の開発・運営のためだけに、SATIC という合弁会社が作られました。SATIC とは Special Aircraft Transport International Company の略で、エアバスとヘリコプターの老舗エアロスパシアルの合弁会社です。

 完成した輸送機には、A300-600ST の形番が与えられました。ST とは Super Transporter の略です。しかしそのあまりに特異な形状から誰言うとなく「白イルカ」と呼ぶようになり、遂にはそれが正式な愛称となりました。
 ベルーガの大きなポイントはコクピットの位置です。胴体下方に突出したコクピットは貨物室のスペースを邪魔せず、かつ離着陸時に十分な視界を確保できる利点がありますが、その形状ゆえに「白イルカ」の異名を頂戴する由来ともなりました。ピンと突き出した姿はまさにイルカの口吻を連想させ、とかく退屈になりがちな大型輸送機のシルエットとしては異例のユニークさを持っています。

 ベルーガは世界最大の内容積を持つ輸送機です。床面積は約 100 平方メートル、貨物室の内容積は約 1,400 立方メートル、搭載量は約 45 トンに及びます。これは前任者グッピーの2倍近い値です。しかも速度はプロペラ機グッピーの1.5倍、逆に荷物の積み下ろし時間は新設計の貨物扉により半分に短縮されました。一機あたりの運送効率はラフに算出してもグッピーの12倍に達します。しかもメインテナンス用の部品や設備は A300 用のものが流用できるのですから、まさにいいことづくめです。
 こんなに優秀なベルーガですが、さすがに用途が特殊なので生産機数は多くありません。正確な数は知りませんが、恐らく全世界を合わせても20機内外でしょう。そのうちほとんどが生まれ故郷のヨーロッパで宇宙関係・航空関係の巨大部品運送に活躍しています。ベルーガはあまり一般の目に触れることのない裏方の輸送機ですが、ベルーガが運んだ部品は旅客機 A300 シリーズや人工衛星や打ち上げロケットとなり、私たちの日々の暮らしに貢献しているのです。


[飛行機エッセイ] [目次]
Copyright by 'Crazy' Y.Sasaki
Web Hostingweb hostingdedicated serversSSL Certificatedomain namesweb hosting